理事・事務部門専用ページ
リンパ球系腫瘍(急性リンパ(球)性白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫等)患者様の検査結果、臨床情報のがん研究への利用に関するお願い


※これは宮城県において急性リンパ性白血病ないし悪性リンパ腫,骨髄腫と診断された患者様へのお知らせです。
リンパ球系腫瘍はリンパ球から発生する腫瘍で,急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫等が含まれます.これらの疾患について正確な診断や分類を行なうためには,形態学的観察だけでなく,腫瘍細胞に発現している蛋白質の解析や,染色体検査,遺伝子解析などを行なう必要があります.今後,リンパ球系腫瘍の治療については,化学療法の進歩や新しい先進治療が開発されることが予想され,このような新しい薬剤の開発や開発後の臨床研究を行うにあたっては,かなり多数の症例を詳細に調査し,そして長期的・継続的に追跡して調べていくこと(疫学調査)が必須なのですが,残念ながら,日本ではまだそのような疫学調査はあまり行われていないのが現状です.その理由として,リンパ球系腫瘍の大半を占める悪性リンパ腫の確定診断に至るまでには様々な専門的な知識や検査が必要であること,その分類法が年を経ることに大きく変わっていることなどがあげられ,しかも特定の地域で多くの病院が共同で一つの研究課題に取り組んでそれを推進していくことは現実的になかなか難しいからです.
現在、公益財団法人一迫記念READ血液アカデミーはその事業として,宮城県においてリンパ球系腫瘍の疫学調査(MIYAGI Study)を行なっています。この計画では、2002年1月1日以降に診断されたリンパ球系腫瘍の方を対象に、診断のために行われた病理学的検査,染色体分析,遺伝子解析の結果及び臨床的情報(検査値,病期・治療効果など)を診療録(カルテ)で調べ,毎年,患者様のご様子を診療録で拝見させていただき,それをデータベースとしてまとめて疫学調査に利用するものです。この研究の重要性を鑑み、この疫学調査を積極的に推進することといたしました。
本研究は、ヘルシンキ宣言(1975東京、2000年スコットランド改訂)の趣旨に沿って、然るべき倫理的配慮が図られているかについて公益財団法人一迫記念READ血液アカデミーの倫理委員会で厳正な審査を受け、承認が得られています。また,本研究への各病院の参加についても各々の病院で承認がなされています。【参加施設一覧PDF
研究で用いられる検査結果、臨床的情報の取り扱いについては、患者様(又は代諾者等)の十分な理解が得られるよう、必要な事項を記載した文書を交付して説明を行い文書で同意をいただくことを原則としております。しかしながら、診断のための生検時にはほとんどの場合がリンパ球系腫瘍「疑い」の段階であり、診断確定は各種の検査や病理組織診断後になるため、診断確定後遡っての同意取得が困難である場合が少なからずあります。それ以外にも、本研究の承認前(2002年以降)の患者様まで遡って情報の収集を行うことを予定しており、そのような場合は改めて文書による同意を得ることは更に困難です。このように、事前の同意を得ることのできなかった患者様に対しては以下のような理由から本ホームページ上での開示及びポスターでのお知らせを持って代えさせて頂くこととなりました。
1. 試料等提供者に危険や不利益が及ぶ可能性が極めて小さい。
2. 社会全体に貢献する重要かつ必要な研究である。
3. 他の方法では実際上、研究が不可能である。
4. 研究の実施状況について情報の公開を図り、併せて提供者等に問い合わせ及び試料等の研究への利用を拒否する機会が設けられている。
本研究は「観察研究」とよばれるものであり、患者様の治療方針には影響しないものであるためこのような方針を採らせていただくこととなりました。この研究は診断のために行われた保険業務の検査結果をまとめる研究であり,通常の診療以外に必要とする費用はありません. 患者様の情報は全て匿名化された登録番号(各施設で対照表を作り厳重に保管)で管理します.その上でさらに,得られた個人データは厳重に管理して,決して外部に流出しないよう努めます.
この臨床研究で得られた成果は,学術集会や論文で公表する予定です.その場合,患者様個人を特定できる情報は一切公表いたしません. その以外に何か御不明な点などがありましたら,いつでもご自由に担当医におたずね下さい.ご自身の情報利用を拒否したい、あるいは研究内容の詳細をお聞きになりたい場合には下記にご連絡ください。

お問い合わせ先:
張替秀郎 副代表理事/MIYAGI Study委員会委員長
(勤務先) 東北大学病院 血液・免疫科 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1
TEL: 022-717-7165 FAX: 022-717-7497